『インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン』

ネット上では画像アップローダーなるものが方々で運営されており、「エロ・モロは止めてね」と運営者が注意書きを掲載しているのを目にした経験は無いだろうか?
運営者が知らないうちに違法とされそうなエロ・モロ画像や児童ポルノ画像が掲載された場合、いずこよりのガサ入れがあった際に、どうなっちゃうんだろうか。


違法情報等対策連絡会(社団法人 テレコムサービス協会)とか「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」等の公表について(社団法人日本インターネットプロバイダー協会)によると、ネット上の違法な情報の掲載への対処のためのガイドラインが公表されたとのこと。
インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン(平成18年11月)(社団法人 テレコムサービス協会) を眺め、どうも日頃から疑問に感じていたイメージのようなものが、今になってはっきりと言語化されてきたので、とりあえず。
当該文書中にては、このようにのたまわれている。引用が長くてすいません。

ガイドラインの目的及び範囲
第2 ガイドラインの判断基準の位置付け
 上記のとおり、電子掲示板の管理者等が、他人が流通させた違法な情報に関して必要な限度で行う送信防止措置については法的責任を問われない。
 一方、電子掲示板の管理者等が、他人が流通させた違法な情報ではない情報について誤って送信防止措置を行った場合における法的責任については裁判手続によって判断されるものである。よって、電子掲示板の管理者等がガイドラインに定める手続に従って送信防止措置を行ったからといって、当然に法的責任が生じないことにはならないことに留意すべきである。

 つまりは画像アップローダー運営者が、エロ・モロな画像を削除するのは責任を問われないらしい。
 だけどもモザイクがある画像を削除してしまえば、「他人が流通させた違法な情報ではない情報」に対して「誤って送信防止措置を行った」としても、このガイドラインは勝手にして下さいね的立場のようだ。

第3 ガイドラインの対象
2 対応主体の範囲
 特定電気通信による違法な情報の流通について送信防止措置を行うことができる者は、特定電気通信の用に供される電気通信設備プロバイダ責任制限法第2条第2号に規定する特定電気通信設備)を他人の通信の用に供する者(電子掲示板の管理者等)である。*4
 よって、ガイドラインにおける違法な情報への対応主体は、電子掲示板の管理者等とする。


 *4 他人が管理するサーバにインターネットアクセスを提供しているだけのプロバイダ(以下「アクセスプロバイダ」という。)においては、通常、当該サーバ内へのアクセスがサーバ管理者により制御されており、当該サーバ内の情報に手を加えること自体が不可能である。また、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第6条により、プロバイダはインターネットアクセスの提供について不当な差別的取扱いをしてはならず、特定のサーバに蔵置されている適法な情報を含むすべての情報についてアクセスを停止することができる場合は相当程度限定されるものと考えられる。したがって、アクセスプロバイダについては、特定の情報が当該サーバ内に蔵置されていることは認識できても、当該サーバ内に他にどのような情報が蔵置されているか知ることができず、当該サーバに対するアクセスを停止した場合には、適法な情報を含むすべての情報について送信を停止することになるといった問題点もあるため、アクセスプロバイダは本ガイドラインの対象としないこととする


このガイドラインは電子掲示板運営者、例えば画像アップローダー運営者のみに適用されるものであり、サイトをホスティングしている業者なりプロバイダーなりは対象としていないようだ。


「Ⅲ 第三者機関による違法性の判断を受けて行う違法な情報への対応」には誰が違法と判断するのかとか、警察から連絡があったらばどうなのかとか、そんな話だ。


どうも消化不良なのだが要約してしまえば、画像アップローダー運営者に対して、このように言いたいらしい。あぁそうですか、な感じですが。
1)違法なエロ・モロ画像は排除しなければならない
2)違法じゃない画像を排除したらば法的に責任を問われるやもしれないが、知ったこっちゃない
3)このガイドラインでの主体は、プロバイダーではなく電子掲示板の管理者等


こんな議論ばかりが進むのでは、画像アップローダー管理者は一方的にやられ損ではないですか。
サイト上に堂々と「エロ・モロ禁止!」と掲載しているアップローダーが、ある日突然多くのその手の画像に埋め尽くされ、サービスを提供しているホスティング業者により一方的に閉鎖される事例が多数見受けられる今日この頃。
ガイドラインは運営者が対応しきれないような事態、例えばどこかのエロ画像掲示板にて「画像をここにアップしようよ」との呼びかけの結果生じた、エロ画像の集中的アップデートにどうしろと言うんだろうか。


何ヶ月間も平和に運用されていたアップローダーが、管理者が目を離した数日間にエロ画像交換の場となり、ホスティング業者よりいきなり勝手にサイトを閉鎖されるとしたらば、誰が誰をどう責めたらばいいんだろうか。
しかもボーダーライン的な画像(つまりモロなのか否か判断が難しい画像)を削除してしまったアップローダー管理者を、このガイドラインは保護しないどころか堂々と寒空の下へ放り投げるのだ。