魚の名前で思いついた、馬鹿論と差別用語話

「バカジャコ」はダメ、差別語含む魚30種を改名へ(YOMIURI ONLINE)によれば、お魚の名前が変わるそうな。


日本魚類学会標準和名検討委員会には魚類以外の生物を含めてた改名話がざっと簡単に記載されており、また魚類の差別的和名の改称について(答申)(日本魚類学会標準和名検討委員会)には今回の差別用語問題の具体例が記載されている。

魚類の標準和名には、「メクラ」や「イザリ」などの差別的語を含むものがあります。これらの語を含む差別的和名は、たとえ命名時に差別的な意図がなかったとしても、和名の利用者に対し、精神的に傷つけたり不快感をもたらすことがあります。
これまで当委員会において差別的和名について討議した結果、「メクラ、オシ、バカ、テナシ、アシナシ、セムシ、イザリ、セッパリ、ミツクチ」の語を含む和名については、1)国内産・外国産を問わず改名すること、2)今後、新和名を提唱するときには、これらの差別的語を含まないよう配慮すべきである、との結論に達しました。


「馬鹿」まで含まれるんですか。
となればバカガイ(アオヤギ・青柳)なども対象となるのだろうか。原文ではバカガイは記載されていないんだけど。

具象物を指す用語のあり方

とかいきなり、自分でもよくわかっていないサブタイトルを付けてしまったんだけど。
中部地方では、衣服に実がくっつく植物を「バカ」と呼称する。
実がくっつく、バカ、バカ(Yahoo!知恵袋)中ではオナモミを指すとされたが、他にも多くの植物が「バカ」とされる。


イヌフグリなどはどうなんだろうか、よく小学校近くの石垣に生えていて、理科の時間に観察したものだが。
「犬の、何とか」だよね。
自分が知る限りでは、これって最強だ。
子供に教えるべきではない名前ナンバーワンとなるだろう。


何かの対象に名前をつけて、他のものと区別する。その過程でどのような判断が下されたのかは知る由もないんだが。
言葉狩りがどんどんエスカレートし、チビクロサンボみたいになったりするのはどうも嫌だなぁ。

部落差別は、田舎に無駄な2車線道路を作るような団体の運動か

これまた何を言い出すんだと笑われそうな話なんだけど。
少なくとも自分が知る限りでは、東北には(世間一般で言う所の)部落差別なるものは存在しない。


そもそも、部落の定義が違うのだよ。
東北地方では山奥の集落、民家が数軒-数十軒集まった集落を「部落」と呼ぶのだ。
(はるか昔、村は小学校の学区を一つ形成できる単位として編成されたそうだが。この場合の部落は村を構成する下位の単位である)
だからどこからか転勤してきたような人は、地元の人と話をすると「うちの部落は」とか「どこそこの部落は」と日常的に「部落」なるキーワードがポンポンと飛び出すので、大変面食らうらしい。


逆に東北出身の学生が他地域の大学に進学し、キャンパス内の立て看板で「部落開放」とか記載されているのを見ると、凄く不思議な感覚に陥る。
「山奥の田舎を開放してどうするんだろう?そもそも誰が支配してるんだ?」とか。
「地方ばら撒き行政が非難されているご時世なのになぁ」とか。
地方出身者幾人と寄り集まって、地元でも車がほとんど通らない無駄な道路建設は止めろとか、それよりもまず田舎に仕事を作るべきだとか、勘違いした話題で盛り上がったのだ。


自分らは「東北弁とかは差別されるんだな、ここまで騒いで看板立てたりしているほどなんだから」と、2-3ヶ月間思い込んでいたのだ。
言葉なんてものは、対象となる具象物を指す場合であったとしても、地域が違えば全く用法は異なるものであるのだ。

差別用語と言ったって、地域間差による印象や用法は異なるもの

「馬鹿!」とか怒鳴りつけると品が無い、だがどこかのお姉さんが「馬鹿(笑」とか軽く言うと、椎名誠的な感じでは「インビな感じ」とか「ブンガクな」になるのだろう。


所謂関西人(*1)とか芸人ががよく乱発する「アホ」にしたって、当人らが利用している感覚と、他地域に居住するような方の受け手としての印象はかなりズレがあるのではなかろうか。
余談となるが学生の頃、大阪出身の人物がやたらとアホアホと連発するのだよ、日常的に。
あまりにも腹が立って「馬鹿」と言い返したらば、彼はいきなり顔を真っ赤にして切れたのだ。
当時は単なる逆ギレで、他人に対して悪口雑言を日常的に浴びせかけるような人物が、言い返されたらば過剰反応したのだろうと考えていたのだが。
ついぞ最近、彼らにとっては「アホ」は対した悪意が込められていない用法であるのだと指摘された。
だが少なくとも関東圏と東北圏では「アホ」は侮蔑的表現であり、親しくもない人物より言われると腹が立つのも事実だ。


逆に、極めてローカルなフレーズでいきなり言い争いとなった経験がある。
Lucaさんの親戚が居住する地域、それこそ山奥で人口密度が家畜の方がより高いような集落近辺で使われる言い回しで、「おいおい何やってるんだよ、しっかり見ろよ」みたいな用法で使われるフレーズ(*2)がある。
何年も使わず聞く機会もなかったのだが、最近ふっと口にしたのだよ。
そうしたらば、さ。
相手がいきなり凄まじい勢いで激怒したのだ。
「ん?何で?」と不思議だったのだが、相手とよくよく話をしてみると、相手が生まれ育ったこれまたローカルな地域では、全く同じフレーズが「二目と見られないブス」の意味として使われているらしい。
凄い偶然だよね、これって。
使っている人が数千人も居ないあまりにもローカルな単語が、いきなり他のこれまたローカルな地域では凄まじい罵詈雑言となるんだ。
それ以来、ローカルな言い回しを使うのを極力避けるように心がけるようにしたのだ。


(*1:関西弁と言ったって、品の無いものとそうではないものなど複数のものがあるらしい)
(*2:内緒。)