Wikipediaにて外部の執筆者に依頼するのは、本当に悪なのか?

 Wikipediaでは辞書的機能を追及し、そして正確さを求める。
 規約やマナーとして、掲載された項目に関わるような人物や団体(もしくは本人)が直接編集するのはどうなのかと最近話題になっている。


 西和彦氏による注文は、自分の目には違和感を感じた。西氏による「誤った記述への指摘」は辞書的性質をより向上させるには役立ったのやもしれないが、ある意味で「西氏本人にとって不適切な記述の改変?」と思われる項目もあった。
 Wikipediaの西和彦関連記事と1ch(Lucablog)


 その他話題になっているのは、茂木健一郎氏かな。
 彼は直接自身で修正せず、第三者に依頼する形で修正を促しているのだが。


 上記は個人の経歴などに関する話である。
 いささか風変わりな例として、ネット上であまり評判が良くない企業が自身の手で(もしくは従業員の独断?批判的な内容を修正し、バレてしまった事件もあった。

修正依頼をどのようにして行うべきなのだろうか

 「Wikipediaの書き換えに報酬」は是か非か?(ITmedia)なる記事にて、企業より数十ドルの報酬を得てWikipediaにエントリーを掲載したグレゴリー・コーズ氏が非難されている記事がある。
 利益相反の点で、また中立的な観点か否かの点にて疑わしいとの視点で、非難されるのは当然なのやもしれない。
 Wikipediaとの媒体を利用して「望まれない宣伝行為を行った」と。


 では次。MicrosoftWikipedia中の記載を第三者に依頼して行ったとの記事が話題になっている。


 米Microsoftが1月23日、オンライン百科事典Wikipediaで面目を失った。同社があるブロガーに、Wikipediaの技術的な項目を編集したら報酬を支払うと申し出たためだ。
 Wikipediaは誰でも編集できる百科事典として知られているが、創設者のジミー・ウェールズ氏と中核のボランティア編集者、執筆者、モデレータはPR会社やキャンペーン担当者など利益相反がある関係者による表面的なあるいは偏った投稿を遮断してきた。このため、Wikipediaの編集に報酬を支払うことは明らかな禁止事項だと考えられている。
 MS、ブロガーにWikipediaの修正を依頼(ITmedia)

Wikipediaジミー・ウェールズ氏が求める「適切なプロセス」

 不適切な記載について、社員が社内よりネットに接続して修正しそれがバレたらば、あちらこちらより集中砲火を受けるだろう(JWordとかね)。
 じゃあどうすべきかとのプロセスなのだが、Wikipedia側が求める「正しい手順」は、このようなものである。


 ウェールズ氏は、Microsoftが問題の項目について、同社の解釈を記した「ホワイトペーパー」を執筆あるいは執筆委託し、それを外部のWebサイトに掲載して、Wikipediaのディスカッションフォーラムにリンクしていれば適切だったと語る。
 「その方がずっと透明性があり、正直で良い方法に思える」(ウェールズ氏)
 (*ウェールズ氏はWikipediaの創設者)
 MS、ブロガーにWikipediaの修正を依頼(ITmedia)
 記事中ではMSが「修正するよう依頼したブロガーへの金銭授受があった」点のみがクロースアップされているのだが、よくよく考えてみたらばあまりにも話がおかしい。


 まずMicrosoft社員が直接Wikipediaのエントリーを編集するのは、利益相反マネージメント的に非難されるだろう。
 もしも実行したらば「自作自演」と非難されてしまうのだろう。


 次にウェールズ氏が主張した方法 - MicrosoftWikipediaについての反論を掲載し、それを「MSと無関係の場で掲載し」、「無関係な第三者が」修正してくれるのをボーッと待つ。
 誰か全くMSと無関係な個人が「よし、MSの記述を正しく修正してやろう」と思いつくのを、延々と待たなければならないのだろう。
 これって無理がありませんか?

理想的なプロセスは、第三者の介在を期待する方法ではない

 ジミー・ウェールズ氏の見解は、彼が本当にこのように述べたならばあまりにも妙な話だ。
 単純な話として、MicrosoftWikipediaに対して「不適切な記述への訂正」を求めるのが、「利益相反」に最も反せずあらゆる意味で「適切な対応」である。
 米国のVIPに関する記述にて悪意があるイタズラがあった事件は目にしたが、このような場合も本人がWikipedia以外の場に抗議した内容を見た第三者による修正が必須なのかい?