職場における熟年社員のパソコン習熟度問題

前報にて、デジタルデバイドとは経済的格差やインフラ整備を元にしたものではと言及したんだけど。
「熟年層がパソコンを使えないのはデジタルデバイド」と称したがる連中が居て、違和感を感じている。


ホワイトカラー職とか事務系職員では、パソコンが全く使えませんって主張する人は、仕事が全くできませんと同義とみなされたりするんだけど。
「パソコン使えません」層がある程度以上の年代に割と固まっている現実では、デジタルデバイドと称するのは違和感を感じつつ、言い様の無いモヤモヤ感があります。
職場での生産力を低下させている点では、雇用者側にとっては困った問題ではありますが。
単純に「何々さんはパソコン使えないのよ」で済ませられる話なのかと。


幾つかの事例に実際に接して、最近疑問を感じているんですが。
「パソコンを使いこなせるかどうか」と「パソコンを使って仕事ができるかどうか」、そもそも「仕事ができるかどうか」は、まるっきり違う問題である。混同してしまっては解決に至る道も遠くなる。
パソコンでの文書入力が苦手な方と、文書の作成そのものが全くできない人を同列に扱うべきではない。
社員向け研修のプログラムにしたって、どの時点で問題が生じているのかを明らかにした上で、問題解決のためにアプローチを採るべきだ。

「パソコンを使えない人」の事例

観念的な話を書くよりは、幾つかの事例を掲載するべきだろうか。

ケース-1 パソコンだとダメなの

とある方は、文書作成能力が大変素晴らしい方で。
定型文でない文書を一から作成しなければならない際には、大変頼りにされておりました。
修辞法的なテクニックが優れているだけではなく、まるで何かのテンプレがあるのではと訝しがるほど毎回毎回素晴らしい文章を即興で生み出せます。


ただ、彼女には一つ問題がありまして。パソコンの入力が極めて遅いんですよ。
罫線紙に自筆で書くには、すらすらと美文(と褒めちゃう)を書けるのに、パソコンが本当に苦手で苦手で。
彼女の場合、同僚が代理でWordに入力して毎回解決しておりました。


単純に考えてしまうと、彼女に初級者向けパソコン講習を受けさせるのが最も単純な解決方法なんですが。
ダメなのですよ、彼女は。適性みたいなものが全く無く、本人が苦手意識を持っちゃってて。


誰かが代理で電子化する作業を行ったとしても、余人をもってかえがたいので。
アシスタントがついてパソコンに入力するのは、職場の生産性を向上させるには望ましいのでしょう。
今でも全く問題なく、その部署では業務が運用されております。

ケース-2 頭で考えた文章を表記できない

うちの職場ではないんですが、わずか数行の文章を書けない人が居る。
何かのレポート状のものを担当させても、文章がメチャクチャで、どうしたのものかと。
そのような人を「パソコン使えない」扱いしてしまってもなぁと。
本人の能力や適性の問題なのだから、一概にパソコン問題に帰結されてしまっては、いかがなものかと。
論点がずれそうなので、ここまでとする。


閑話休題
今でもかなり気にかかっている人が居りまして。
ある知人はかつては相応に活躍はしていたようなんですが。うまく説明できないんですが、その方は頭の中ではいい文章を作っているものの、実際に口に出したり文章として表記できなくなってしまったんですよ。
当時の彼は、意味も無くいきなり怒り出したり。誰かが話しかけても全く的外れな返答をしたりと、おかしな状況となっておりまして。
定年前に健康上の理由で退職されました。


脳梗塞の人が言語野に問題が起きたらば、似たような症例になるのだそうです。
どうしているのかな。。。。。。。と心配してます。

ケース-3 パソコンが使えないと装う連中

世間では「ある程度以上の年齢の社員はパソコンがうまく使えないものだ」として、擁護的な視点ばかりに立って論じる方も居るんですが。
「パソコンが使えません」として、単に業務をサボる連中も居るんですよね。「自分はパソコン使えませんー」と宣言してしまえば、仕事量も減って楽じゃん、と。


諸般の事情で、困ったさんと直接話をする機会がありまして。
彼が言うに「定年まであと数年なんだから、パソコンなんて覚える必要無いだろう!誰かにやらせればいいんだ!はっはっは!」
困ったさんが作成するべき文書を、全く違う部署の方が毎回無理矢理作成させられたりしているとは聞いてはいたんですが。
ここまで酷い話だとは思ってもみませんでした。


。。。。。。。。。。一言暴言を吐かせてくれ。
「さっさとクビにしてまえ」。

何をどう言うべきなのやらと

一概にパソコンを使えるか否かをもって、社員の能力を測るのも乱暴だという主張もわかるよ。ケース-1の方はパソコンはほとんど使えないものの、余人に変え難い仕事をされておりました。
だけども最低限レベルとして、メールの送受信や定型文の作成レベルで問題がある社員は、どうしたものかねと。


企業としては熟年層向けにパソコン講習などを行っていたりするんだけど。
単純に「パソコンが使えるかどうか」だけに着目して、いいのかなぁと。
本人の素質や素養や教養に依存する部分は、社内研修などのプログラムを与えても、どうにもならないんじゃないかな。


人事面や人員配置を含め、本人の適性などを考えた上で、総括的な評価とプログラムが求められているような気がする。
「パソコン使えない」と堂々と主張するタイプには、かなりの確率で何らかの全く違う根の問題が存在している。