宇和島徳州会病院の万波医師による病腎移植への素朴な疑問

愛媛県宇和島市徳洲会グループ、宇和島徳洲会病院所属の万波誠医師による、病気腎臓移植問題が話題になっている。
病院側の調査委員会は「病気腎移植を完全に否定することはできない」とされ、妙な話になっているんですが。


素朴な疑問を一つ。
摘出されて第三者へ移植されてしまった腎臓は、移植後に十分機能すると見込まれていたんですよね、当然の話として。
であれば単純な話として、ドナー(臓器提供者)は摘出されるべき必然性が無いにも関わらず、腎臓を摘出されてしまったんではないでしょうか。


移植された病気の腎臓が移植先の体内で正常に機能すると予測されていたならば、ドナーには腎臓を摘出しない治療の道があったはず。
最初から論理なりロジックが破綻しているのだよ。

万波医師と徳洲会の陰

医療法人徳洲会の福岡徳洲会病院は2004年3月3日に福岡弁護士会より、福岡徳州会病院における「脳死」での臓器摘出への人権救済申し立てに対する福岡弁護士会の勧告として非難されている。


2006年10月には宇和島徳洲会病院にて臓器売買事件が取り沙汰されている(臓器売買 有罪判決、移植医療 甘さ指摘(2006年12月26日)(YOMIURI ONLINE))。
宇和島徳洲会病院における11件の病腎移植問題は、臓器売買事件の調査に付随して明らかになった問題である。


2004年4月に宇和島徳洲会病院へ万波医師が勤務してより、11件の病腎移植があったとされる。
だが病腎移植は、万波医師により以前にも幾度も行われていたのだ。しかも感染症の患者の腎臓をだ。移植された方は一体どうなっちゃうんでしょうか。

 宇和島徳洲会病院愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)らによる病腎移植問題で、万波医師がB型肝炎ウイルス検査で陽性だった患者から摘出された腎臓を平成16年3月まで勤務した市立宇和島病院で移植に使っていたことが17日、分かった。
 万波医師は、腎臓が化膿(かのう)する感染症の腎膿瘍(のうよう)の患者から摘出された腎臓も移植に使っていたほか、15年に三原赤十字病院広島県三原市)で尿管がんのため腎臓を摘出した男性は、梅毒の抗体検査で陽性だったが同様に移植に使ったという。

コンセンサスの有無

11人全員ではなく、病院による聞き取り調査では5人だけなんですよね。
折角だから万波医師によって腎臓を摘出されてしまった多くの方の証言も知りたいなぁと。

 宇和島徳洲会病院宇和島市)の万波誠医師(66)らによる病気腎移植問題で、同病院は二十二日、万波医師が病気腎を摘出した元患者五人から、摘出の経緯などについて聞き取り調査した。同病院によると、元患者らは「万波医師は事前に摘出以外の手術法についても説明した」などと証言した。
 調査後に会見した元患者らは「人助けになるのであればと思い、提供を承諾した」などと話した。万波医師は「腎臓を摘出したことは間違いではなかったと確信している」とコメントした。


ここで「何だ、腎臓を摘出された患者の同意があったんじゃないか」と早計に考えてはならない。
まず中立的な第三者機関による聞き取り調査ではない。
次に、腎臓の摘出が不必要な患者に「摘出摘出」と説明したならば、病状を必要以上に悪く伝えていたのかなぁと、勘ぐっちゃうんですが。
いかがでしょうか。


では移植された方はどうなんだろうかと。
「病気の腎臓と知っていたらば移植なんて受けなかった」との証言が週刊誌に掲載されていたようですが。
もう少し詳しく知りたいなぁと。

調査委員会の不思議

リンク先消失記事で申し訳ないのだが。2月の時点では、必要が無い腎臓摘出だったとの記事がありましたが。

 11件の病気腎移植を医学的見地から検討してきた専門委員からは「容認できるものはない」とする意見が出された。
 ネフローゼ患者の両腎摘出については「内科治療が第一選択。移植すると拒絶反応が起こることもあり、摘出は不適切」との評価で一致。尿管狭さくは「まず内視鏡で治療すべき」、腎動脈瘤も「大きさから判断すると、経過を見ても良い」と指摘するなど、他の疾患の摘出にも批判が出た。
 さらに、患者との間で書面による説明と同意がなく、カルテの記載も不十分な点が大きな問題だとした。
徳洲会病院の病気腎移植問題、調査委の結論は先送り(2007年2月18日)(YOMIURI ONLINE)(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070218i113.htm


ところが最終的には、万波医師の行為は最終的に正当化されてしまった。

 宇和島徳洲会病院の万波誠医師(66)による六件の病気腎摘出について同病院調査委員会は三日、「適切、容認できる」と結論付けた。日本移植学会派遣の調査委員との対立の末に、医学的見地から「すべてに問題あり」としていた外部の専門委員の意見とは百八十度異なる見解。
 徳洲会グループは病気腎移植問題発覚直後から、万波医師を擁護する立場を貫き、機関紙「徳洲新聞」で病気腎移植の正当性を主張し続けてきた。つまり、徳洲会の内部機関である調査委が「ノー」の結論を出すはずはなかった。一方の学会側もまた「そもそもあり得ない医療」との姿勢を貫いている。立ち位置が全く異なる双方の見解が、病院の内部機関で一本化されるはずもなかった。

 宇和島徳洲会病院で万波誠医師(66)が実施した病気腎摘出六件を「適切」「容認できる」とした三日の同病院調査委員会。日本移植学会から派遣され、医学的見地から検討した専門委員会にも名を連ねた調査委員、雨宮浩氏は「百パーセントは納得していない」と声を絞り出した。
 外部の委員から「摘出不要」といった否定的な意見が大勢を占め、徳洲会グループ内委員と意見が対立した先月の専門委から一転した調査委。出席メンバー十三人のうち徳洲会関係者が九人を占める委員構成に批判の声がある中、ただ一人、日本移植学会から派遣されている雨宮氏は「多勢に無勢だったのでは」との指摘に「そうかもしれない」と苦笑交じりに答えた。
 そして「少なくとも今の医学基準に照らせば摘出十一件は不適当な手術だった。あくまで専門委の意見は並列で残してもらう」と述べるのが精いっぱいだった。

 しかしながら、3日の宇和島徳洲会病院の調査委員会の見解は「摘出する必要のない腎臓が摘出された」と結論づけた下部組織の専門委員会による医学的判断を否定してまで「3件は適切で、残り3件は容認できる」と病腎の摘出を肯定した。
 なぜ、これだけ真っ向から対立する見解が出されたのか。
 調査委員会の委員13人のうち、9人は宇和島徳洲会病院の関係者だ。院長、副院長、事務長、それに徳洲会専務理事らが、その9人である。日本移植学会から調査委員としてただ一人派遣された医師は「自分だけがつるし上げられた。多勢に無勢だった」と移植学会に報告している。

出席メンバー十三人のうち徳洲会関係者が九人を占める委員構成という異常な委員構成なのだから、最初に結論ありきだったのは目に見えている。

腎臓移植、病腎移植の報道の中で取材不足、理解不足などの理由で結果的に偏った報道がいくつも見られます。その中でも特に大きな誤認による報道に関し徳洲会グループとしては正式な抗議を行っています。公正を期すため、その抗議内容と抗議に対する各社の対応などをホームページ上で公開することにしました。

激しく白けた。


臓器売買事件などもありましたし。
臓器移植全般に対するイメージダウンに結びついたのは事実でしょう。

 今回の調査委員会は、こうした医療の透明性に反すると言わざるを得ない。宇和島徳洲会病院徳洲会は移植医、移植コーディネーター、患者団体ら移植医療関係者のこれまでの努力や苦労をどう考えているのだろうか。