暗号化ソフトウェアの罠と運用面での問題

ファイルやフォルダを暗号化したり、またリムーバルメディアや特定ドライブを暗号化するソフトウェアの利用は、近年の個人情報保護法や企業での運用リテラシーなどの目的のために、注視されている技術である。
雑誌にはその手のソフトウェアの広告が掲載され、USBメモリーキーのパンフにはセキュリティ対策機能として喧伝されている。
特定のドライブやメディアを丸ごと暗号化して認証後に特殊なドライバを通じて読み取るようなものとか、パスワード入力後に復号化したドライブを表示させるようなものだ。


だがこれらのセキュリティ対策を謳うソフトウェアは、多くの問題を引き起こしているにも関わらず、リスク面についてはあまり論じられていない。

バージョンアップに伴う不具合

知人の息子さんが大変な目に遭いまして。
暗号化ソフトウェアをバージョンアップしたらば、保存していたデジカメ画像ファイルが読み取れなくなり、恐ろしい金額が飛ぶところでした。


デジカメで使うコンパクトフラッシュカードには、画像復元ソフトウェアがおまけで入ってたりするもので。
同じコンパクトフラッシュカードを店頭で購入し、画像復元ソフトを入手してスキャンしたらばとアドバイスしたらば、奇跡的に幾つかの画像を取り戻せました。


今になって思い返せば、暗号化ソフトウェアをアンインストールして旧バージョンをインストールしなおすとか、ドライブを外して旧バージョンがインストールされているパソコンに接続する手もありましたね。

アンチウイルスソフトとの相性

ウイルス対策ソフトウェアによっては、何故か暗号化ソフトウェアと破滅的に競合する製品がある。
【重要】秘文シリーズ マカフィー・ウイルススキャン プラス 2007をはじめとするマカフィー株式会社 セキュリティ製品をインストールすると,暗号ファイルが扱えなくなる事象 についてのお知らせ(HitachiSoft) via ずきんさん


特定ドライブ丸ごと暗号化ソフトやUSBメモリーキーのメーカーが配布している暗号化ソフトを自分は愛用しているんですが、所謂暗号化された領域のファイルがアンチウイルスソフトウェアによりズラズラと「何かが検出された」と誤検出されるのもよくありまして。
(具体的にどのような暗号化ソフトウェアとウイルス対策ソフトの間に問題があるのか記載したいものの、リアル知人が「自分が取り纏めるのぉ!」と、強行にのたまっているので、ここでは掲載しないでおく。)
(こういうシガラミみたいなものは、自分は好きではない)


検出された状態で隔離なり削除してしまえば、えげつない事態になるのはわかりますよね、誰でも。
またウイルス対策ソフトウェアの導入でファイルが開けなくなったり破壊されてしまうのは、個人レベルで情報収集をして備えろと唱えられても無理があるものです。


ウイルス対策ソフトメーカー側の問題とは一概には言いづらく。
かと言って、暗号化ソフトウェアの開発元は全てのアンチウイルスソフトを毎回テストするべきとも言えないし。
利用する方々による事前のテストは必須なのだろう。
企業では統一的な規格を準用できるものの、SOHOとか個人レベルでは難しいものはありますね、確かに。
リムーバルメディアならば書き込みを禁止してからテストするべきだし、ハードディスクの暗号化領域ならば事前にバックアップしておく必要に迫られるんだろう。

暗号化領域に保存する前は、当然ながら保護されない

あまりにも当たり前の話ではあるのだが。
Dドライブを暗号化していたとしても、Cドライブに置いて編集し保存したファイルを、Dドライブ(暗号化領域)に保存したとしてもさ。
CドライブをFinalDataなどで漁れば、暗号化前のファイルが取得できる可能性がある。

ファイルを開けなくしたとしても - Windows標準のEFS機能はエロ画像の保存には向かない

先日飲み会で、「Windowsの暗号化機能(EFS)でムフフ画像を保護しているから安全だ!」と酔った勢いで主張された方が居りましたが。
EFSによるアクセス制御ではファイルが開けなくなるものの、サムネール画像は取得できてしまうために画像の中身はバレてしまうだろう(暗号化ファイルシステム(Encrypting File System)(2005年01月22日)(Semplice))。