UNESCOは単なるポーズ - プライバシーに積極的に配慮したように見せかけるGoogle

 GoogleによるトランザクションクッキーやIPロケーション技術は、現実には多くのWebサーファーの挙動を監視し、自社の収益を維持する目的である。
 AdSense広告はサイト運営社が短いコードを貼り付けるだけで即運用できるが、掲載される広告は接続者の地域・言語を反映する。
 個別のサイトに含まれる文中のキーワードと表示される宣伝の関連として、潜在的意味解析技術を用いた関連付け評価の元に、例えば美容の話題中心のサイトであれば化粧品の広告とされるんだろう。


 さて。Google社は以前、ネット上で最もプライバシーを侵害している企業の一つであるDoubleClickを買収した。
 ところで君は、DoubleClick社を本当に知っているのかい?(Semplice, 2007年4月23日)
 日本ではあまり盛り上がっていないようなんですが、海外におけるプライバシーに慎重な立場の個人や団体よりは、凄まじく非難されているんですよね、Googleは。
 (疑うならば、Google DoubleClick Privacyで検索してもらいたい)

プライバシーの基準を策定、と言われてもさ。

 えーっと。ゴメンよ。お前は何を言いたいのだ?

 Googleの国際プライバシー担当顧問であるPeter Fleischer氏は現地時間9月14日、フランスのストラスブールで開催される国連教育科学文化機関(UNESCO)の倫理と人権に関する会議で講演し、その中で同社の案を提出することを予定している。
(中略)
 APECの概要によると、このAPECの枠組みは、「情報プライバシー保護への柔軟なアプローチを促進」すると同時に、「取引に対する障害を未然に防ぎつつ、データの流れにおける説明責任を可能にする実用的なポリシーアプローチ」だという。この枠組みでは以下の9つの原則が定められている。損害の予防、個人情報の完全性、ユーザーへの通知、セキュリティの予防手段、データの収集制限、データへのアクセスと修正、個人情報の利用、説明責任、意志による選択である。
 同枠組みの原則の1つである「損害の予防」の下では、「改善策はすべて、損害発生の可能性や損害の深刻さに応じて実施されなければならない」という。
 Fleischer氏は、「プライバシー標準は、消費者プライバシーに対する現実の損害に重点を置いたものでなければならない」とし、さらに「他の国々には、観念的な傾向がある(中略)APECが実際に重視しているのはあくまでプライバシーに対する損害であり、抽象概念ではない」と付け加えた。
 


 Rotenberg氏の率直な見解が全てを物語っている。Googleの姿勢は単なるポーズに過ぎないんじゃないかと。

 しかし、プライバシー擁護派はGoogleの提案について、Googleがオンライン広告会社DoubleClickに対して行った31億ドルでの買収案が連邦政府の審査を受ける中、Googleがプライバシー問題に敏感であることを必死にアピールしようとしているにすぎない、と一蹴した。
 (中略)
 Rotenberg氏は、「Googleのごう慢さや、同社が自分のビジネス慣行の大改革に消極的であることに、世界の多くの国々が辟易しており、同社は今、それらの国々からの巨大な圧力にさらされている」とし、さらに「また同社は、DoubleClickの買収を連邦取引委員会(FTC)に必死に押し通そうと試みているが、これまで、かなりの抵抗にさらされてきた」と語った。
 この点について、Fleischer氏は、DoubleClickの買収案と今回の提案との関連を否定した。

Googleの「資格」

Googleの広告に潜む、マルウェア配布者による広告(Semplice, 2006年3月22日)より。
Googleは多くの詐欺ソフトウェア業者の広告を掲載した。多くはGoogleで検索すれば悪評がいずれも上位にズラズラと並ぶような業者であってもだ。
Stop Badware CoalitionにてGoogleは堂々と、悪質なスパイウェアアドウェアを排除するグループに参加し協力すると表明している。


Googleには「資格」があるのだろうか?
今回のプライバシー問題にしたってそうだ。
(See Googleによるプライバシー対策は、監視社会の足音への不安を解消していない(Semplice, 2007年4月24日)

余談として

先週初め頃、どこかのニュースポータルかSEO関連フォーラムにて海外記事を和訳して紹介するものがあった。内容は、Googleマルウェアスパイウェア?)配布者に協力などしないし、善意のサービスだとか、そんな感じ。


全力で呆れた点として著者はBen Edelman氏を名指しで非難してたんですが、Ben Edelman氏は大手検索サービス運営者と悪質業者との関わりをリサーチして告発した世界的な第一人者であり、ネットワーク上の通信をキャプチャし介在する広告代理店などとの繋がりをレポートする開拓者である。
彼のこれまでの業績を「本当に」読んでいれば、そんな話は書けないだろうと、思いっきり呆れたのだ。
(ブックマークし忘れたのが痛恨なんですが、もしも心当たりがある方がいらっしゃいましたらば、コメントにて教えて下さい。確か50歳程度の白いヒゲの外人の画像が掲載されている記事です)