児童ポルノの所持規制は、濡れ衣を産むのでは?

最近体調も悪く、ブログの更新もままなりません。皆さんお元気でしょうか。


近頃はユニセフだの何だのが、なかなか面白い活動をなさっておりまして。
国内でも児童福祉の観点より、チャイルドポルノ規制の声が一部メディアや政治団体より高まっております。児童ポルノ禁止法だ。


欧州某国では、著名なアーティストのパソコン内部にチャイルドポルノ画像が数枚あったとの理由で、滅茶苦茶叩かれ。
社会的に抹殺しようとする方々に、散々と誹謗中傷されておりますね。
(本人は、児童虐待された体験を何とかするためにどうこうと主張してる、いささか臭いケースですが)
まぁ、そういう事例は除いて話を進める。


いささか疑問を感じた点として。
強制架電トラップ時代の、いかがわしい詐欺サイトや騙しサイト。また近年のエロサイトを強制的に表示させるアドウェア(厳密にはアドウェアの範疇に含むのかは微妙ですが)について。
どーやって「たまたま表示されてしまった、意図しないエロ画像」と、意図的に収集したエロ画像の残渣、これらを区別するのかと。
・・・・・・・・・・無理じゃね?
ブラウザのキャッシュが全て、家宅捜索時に起訴に至る証拠としては取り上げられないならば、歓迎すべきだ。
何故ならば、多くのアドウェアやブラウザハイジャッカーは、エロ画像を使って被害者を誘引するだけではなく、感染後に勝手にブラウザを起動してエロサイトを表示する症例があきれるほど多いからだ。
数年前に日本の多くのサイトにて貼り付けられて被害者を生んだ、某強制架電トラップの場合。感染すると、14歳程度の女の子の画像(それもかなり露骨な、モロだ)を表示するサイトが強制表示される。
つまりは、パソコンの所有者が意図して閲覧したエロサイトであるのか、または感染中のマルウェアが勝手に開いたエロサイトであるのかを、後日検証するのは困難である以上は、刑法なり法的な手段によって誰かを貶めるべきではない。


昨日ブックマーク整理の折に、うっかり消してしまったんですが。
国内の政治家さんらは、どっかのWebサイトを閲覧して残ったキャッシュなり一時ファイルは、規制の枠より外すべきとか発言しているようだ。
ある程度はネット事情に詳しい方が存在し、感情論のみには基づかない理性ある判断を下し。相応なケースを落としどころとするのだろう。


閑話休題
自分は最近とあるご婦人のパソコンのマルウェア駆除を依頼されたのだが。
パソコンをネットワークに接続した状態で起動すると、多くのアダルトサイトが勝手に表示され、また「そりゃまずいでしょう」的なエロい画像がデスクトップ上に多数並ぶのだ。
もちろん、彼女が自ら望みエロい画像を集めたのではないだろう。


エロ画像は、マルウェアが勝手にいかがわしいWebサイトを表示させればキャッシュとして残り。
勝手にダウンロードされることもあり。
エロサイトのブックマークを勝手に数個・数十個も登録される場合もあり。
VirtualPCを利用して怪しいサイトを巡回すれば、気付かぬうちに多くのエロ画像がいつの間にか集まり。


さて。誰がどこで、どのような技術のレベルや指針にて判断するのだろうか。
もしもだ、実際に調査するとなると、ハードディスクを押収し、クラスタ単位でどのファイルがどの位置にと解析する必要が生じるのではなかろうか。
(マイドキュメント中に「エロ」ってフォルダを自ら作成して保存していた場合は、この際保留とする)
大変残念な事にメモを紛失してしまったんですが、参考までに。オーストラリアの港湾事務関連施設をハックした加害者が、「自分は悪い事はしていない、トロイの木馬に感染していたため勝手にやられてたんだ!」と主張してた事件があった。検察側はクラスタ単位でデータの並び方を解析し、加害者が犯行後にトロイの木馬をインストールしたのだと主張していたものの、法廷では「十分に知見が蓄積されていない手法によるアプローチは証拠としては採用できない」との理由で、無罪になったのだとか。


日本では?
偉い人に質問した話として、現況ではそのような解析はなされないようです。


では、やや飛躍した話を。
世間には「お前は違法なエロ画像を見たな!通報されたくなければ金を払え!」と、感染後に脅迫するマルウェアが存在する。
これを一歩進めて、ですね。
感染直後にエロ画像を勝手にダウンロード・保存し。相応の期間を置いてからどこかに「誰々はチャイルドポルノを閲覧し保存しているぞぉー!」と通報するマルウェアがあったとしたらば、どう?
(チャイルドポルノを掲載しているエロサイトを強制表示するブラウザハイジャッカーは、自分は数え切れないほど感染実験して発見している)


現況にて、チャイルドポルノを含むWebサイトを強制表示するマルウェアは、世の中に溢れている。
ブックマークの追加、画像の無断ダウンロード、トップページの改変、その他諸々。
また「違法なエロ画像を見てたなぁ!」とイチャモンをつけるマルウェアも、存在する。


そして、最も大事なポイントはですね。
エロ画像の強制表示や保存が、マルウェアによるパソコン所有者の意図に反した無断行為であると、第三者が証明する手段は乏しいのだよ。


意図的にエロ画像を集めていたのか否かを、(告発された者が)証明しきれる技術的な手法が乏しい・もしくは事実上そのような調査を受ける手段が無いのだから、冤罪を産む可能性を否定できない。
マルウェアの駆除後であるならば無罪は証明できないならば、そしてマルウェアによる被害として多く報告される症例が違法行為とされる可能性があるのならばだ。
マルウェアに感染した場合、後々に無罪判決を得るために、ウイルス対策ソフトウェアを使わずに、パソコンをそのまま押入れに突っ込んで保存しなければならないのかね。ハードディスクをクラスタ単位で解析してくれる技術者を、被告人側証人として探し出すまでは。

あー、一応断りを入れておきます

児童ポルノの規制そのものについては、自分は反対しておりません。
ただし、現況でマルウェア児童ポルノサイトを強制表示する事例が溢れ、場合によってはブラウザのキャッシュに留まるのみならず勝手にダウンロードされる事例がある点で、冤罪の可能性を提示したいだけです。