ブラクラや騙しリンクを踏んだら被害者の自己責任なのか

昔より不思議さを感じていたネット上での価値観なのだが、どうも納得がいかないまま月日が流れ、そのうち目にする事も無くなった不思議な言い回し・もしくは風習がある。
それは「ネットは自己責任」とのフレーズだ。

ブラクラ文化の消長

ブラウザクラッシャーブラクラ)なるトラップは最近目にする機会が急激に減ったが、以前はあちらこちらのサイト・電子掲示板・BBS・フォーラムにて頻繁に目にしたものだ。
クリックを促すような短いコメントと共に、ブラクラを設置したページのURL(URI)を貼り付ける。
数十分後には「やられた。。。。」とか、又は怒気を含んだ投稿が幾つか掲載される。
犯人はディスプレイの前で笑うのだ。


ブラクラには様々なバージョンがある。maitoストーム、FDDアタック、無限アラートなどが代表的だろうか。
(詳しくはブラウザクラッシャー(Wikipedia)参照のこと)


WindowsOSを再起動するよう強いられ、保存していない作業中のデータが消失する程度で実害はほとんど無いと思い込まれているようだが、そうでもない。
個人的経験なのだが、FDDアタックを踏みフロッピーディスクドライブが凄まじい音を立て、壊れてしまったのだ。


他人のBBSにしつこく何度も何度もブラクラのURL(URI)を貼り付ければ、威力業務妨害罪(刑法234条)になるような気がする。
Lucaさんのパソコンはフロッピーディスクドライブが破壊されてしまったのだから、電子計算機損壊等業務妨害(第234条の2)になりそうな気がする。
その辺りの法律の解釈はどうもよくわからないんだけど、少なくともブラクラを貼り付けて犯人が逮捕された事例は無い。
結局泣き寝入りなのだな、被害者は。

自己責任論なる凶器

嘆き悲しんでいる被害者に対し更なる追い討ちとなるのは、「ブラクラを踏んだお前が悪い」との自己責任論だ。
2001年頃まではネット上にてブラクラを踏んだと相談したらば、初心者はどうこうとか侮蔑的な回等が多く、冷たい言葉が返ってくるのみだった。
中には公然と、ブラクラの被害者に対して非難中傷を行う者も居たのだ、それもかなりの割合で(具体的な言い回しは品が無いためここでは記載しない)。


状況が微妙に変わったのは、ブラクラに対して果敢に挑むような層 - ブラクラのデータベース状のものを公開し注意を呼びかけるなど - が現れた頃だろうか。
アンチウイルスソフトも2002年頃には、Suarなどのブラクラに対応するようになった(2000年のSPAWN以来との説もある)。


現在ではどうだろうか。
どこかのブログに投稿された怪しいコメントのURI(URL)やトラックバックスパムを踏んだら、何かに感染したとする。
困り果てた質問者が質問を投稿したとする。今では被害者に対して口汚い返信を返したり罵倒するような方は、ほとんど皆無だ。


さて。
はるか昔、「ネットは自己責任」と唱えていた方々が今何を思うのか、自分にはよくわからない。
彼らが何故に「自己責任」なる言い回しを持ち出し、被害者を(加害者でもないのに!)非難・攻撃したのか。
自分にはさっぱり理解できないのだ。