違うんだって - 女性システム管理者の憂鬱における罠と、責任回避

ITMediaにて連載されている、「女性システム管理者の憂鬱」なる記事があまりにも酷いのではと、Sempliceにて以前記載した。職場でのイジメ問題とか、自分のミスなのに堂々と他人に罪を着せ開き直った人物の話として自分は読み取ったんだけど、皆さんはどうでしょうか。
「女性システム管理者の憂鬱」における責任感と倫理観の欠如(2006年12月30日)(Semplice)


ここ数回の連載は「おとなしい」内容ばかりだったので、ふーん、と唸ってたんですが。
今回のはあまりにも激しい思い違いがあり、問題認識の視点が違うのではと。
社内システム総責任者A部長のツルの一声(ITmedia)


記事の内容
1)社内のウイルス定義ファイル配信用サーバーが不調がち
2)そのうち社内にウイルス蔓延
3)定例会議の真っ最中に、最上位のシステム総管理者A氏より呼び出し。
4)A氏が作成した「ルール(注:サーバーの再起動にて決済が必要な話)」をA氏の指示により横紙破りでどうたら


記事では総管理者A氏が「自ら定めた管理マニュアルを、A氏自らが破るような指示を出した」点ばかりがクローズアップされているんだけど。
視点そのものが狭いんだよね、この人は毎回毎回自分中心の世界しか見えていないのだよ。
何故に諸般の問題が何によって引き起こされたのかを見極めてもらいたい。



わたし:「これは不具合として報告されていて、今の定例会議でも議題にとりあげられています」
A部長:「どれくらい前から不具合として認識があるの? いつ解消されるの? サーバの再起動が必要ならなぜやらないの? 」
矢継ぎ早の質問にどれから答えてよいものか。このシステムを担当してようやく1カ月。素人同然のわたしに、責任者を納得させられるような回答ができるはずもなかった。


部署異動後1ヶ月の「女性管理者」を責めるつもりは自分には無い。
だが毎度の事ながら「女性管理者」は問題の根を取り違えている。「A部長は自分が決めたルールを破ってうんたら」的な低俗な記事になってしまったのは、大変驚いた。
「超法規的処置」や「質問攻めに」のような、勘違い的な見出しが何故に出てくるのかと。


最も重要な問題点は、緊急性が求められるようなインシデントにおいて、最終的に責任を負うA部長への連絡が行き届かなかったとの人的な問題なのだよ。
担当部署より全く連絡が無く。初めて問題を知ったA部長が担当者を呼び出して事情を聞き、対処を命じたと。


もうちょっとわかりやすく書きましょうか。
A部長が事前に定義ファイル配信サーバーに不具合が起きていたと知っていたならば、A部長主導で定められた(あちらこちらに稟議が必要な)社内ルールは改訂されていた、もしくは不具合が起きていたサーバーへ対策が講じられていたはずである。
記事中には堂々と「以前から懸案となっていたトラブルについて」と記載されているのだ。


A部長は、報告があってしかるべき情報が提示されず、社内でのウイルス感染事件で初めて問題を知りました。
「女性管理者」が所属する部署が報告すべき情報を報告していなかったためもあり、社内にウイルスが蔓延しました。
そしてウイルスが蔓延しているとの報告が担当部署よりA部長にあったとは記事中よりは読み取れません。


迅速に対応しようと現場に出向き指示したA部長が、何故に非難されなければならないんだろうか。
さて。誰がどう責任を取るべき?
記事中にてはA部長はやたらと槍玉に上がっているけど、違うでしょう。
責任を取るべきは主人公の所属部署である。

下記の内容をITMediaに送信した。

担当者様

高橋美樹記者担当の「女性システム管理者の憂鬱」ですが、情報提供者による話を誤認したまま毎回掲載されてますね。

貴社連載の「女性システム管理者の憂鬱」にて、職場での常習的いじめ行為や、自身の失敗であるにも関わらず他人に堂々と責任をかぶせる姿勢に対して、違和感を感じております。
http://blog.lucanian.net/archives/50872664.html

本日閲覧しました「社内システム総責任者A部長のツルの一声」ですが。
ITmedia側では「女性システム管理者」側の言い分のみを取り上げ、明らかに勘違いなされておられるようです。
http://d.hatena.ne.jp/LucaLuca/20070221/p1
これは「女性システム管理者」が所属した部署側の問題で、槍玉に上がったA部長には瑕疵はありません。

今回に限らず毎回毎回、「女性システム管理者」所属部署・もしくは当人による問題が、第三者に責任転嫁されているようですが。
幾らなんでも個人による投稿をここまでノーチェックで掲載なされるのは、おかしいのではないでしょうか。

えええ? - 駆除ツールの話だよね?(2007年2月27日追記)

ベンダーを操り操られ、システム管理者の「駆け引き」 (1/4)(ITmedia)は、(ウイルス対策の)ソフトメーカーとの折衝窓口となった際の体験談である。
社内ネットワークが汚染されたため、アンチウイルスソフトメーカーに駆除ツール作成を依頼した話である(ウイルス定義ファイルの話ではない)。

原文の情報が不足しているとして、歯にネギが挟まったままでこれ以上の言及は避けておきます。
(どこがどうと記載するには、判断材料が幾つか足らなかったので)

いや、違うって - 変なのは主人公の非難

メーカーサイトが「社内ルールを無視して特別対応したと、自社の評価を上げるためにうんたら」的な記述。
「何故に罪のない相手を悪者扱いするのだ?」


元々この駆除ツールは「主人公」らが、脅迫的に強要して作成させたものである。
だから「(ウイルス対策ソフトメーカーの)社内ルール」が無視されたのだ。
(対策メーカーのリスク評価が時間軸的に適切でなかったのは事実としてもだ)
その後にウイルス対策ソフトメーカーがアウトブレイクを確認し、駆除ツールを公開したとして。


何故に「タヌキとキツネの何とやら」になるのだ?

難しきは「社内調整」 - 今回は頑張ったとは思うが、論点がずれている(2007年3月10日追記)

女性システム管理者の憂鬱:難しきは「社内調整」は、色々と考えさせられる内容であった。
記事は「誰がカツラで、誰と誰の仲が怪しい」などの雑談中にて、WindowsXPの暗号化に失敗した問題が出てきたのが発端である。


障害発生後に対応が2ヶ月後になったのは、問題だとは思うし。その部分だけを取り出されれば酷い話だと同情するよ。
主人公の話を全て鵜呑みにできたならば、「お疲れ様でした」とつぶやいたろう。
だけどさ。「正式な依頼文書を送る前に、主人公が直接乗り込む」のは、どうなのかな。普通ならば自身の上司に報告し、適切な指示を仰いだ上で行動するのが定石ではなかろうか。


後半部は、Active Directoryの運用がダメダメだった話になり。主人公が悪者扱いしたADチーム話になっている。
よくどこかのブログで、全く根が違う問題を無理に混ぜて印象操作するものがありますが。
同様のノリなのかな、ITMedia
「偉い人の報告」「主人公の報告」での扱いの違いであると問題を矮小化されてもな。

事の成り行きを傍観していたわたしは、それまで嫌と言うほど社内調整の難しさを体験してきただけに、今回の対応の早さに自分の無力さを見せつけられた思いだった。専務の登場ともなれば、誰しも何を差しおいても動かないわけにはいかないわけだ。やっぱり、思い通りに仕事をしたいのであれば、出世するしかないということか・・・・・・。


「暗号化できない」と、「専務のアカウントが不正使用されている」では、問題のレベルが桁違いで違うだろうと。
「専務のアカウントの第三者による使用」は、企業にとっては金銭に換えがたいほどの重大な問題である - 所謂プライスレスだ。
誰かが専務を騙って取引先に破壊活動でもされたらばどうなのよと。

一連の連載を眺めての疑問

社内の連携がどうこうと訴えるならば、主人公の行動自身のこれまでの行動はどうなのかと。
部署間でも部署内でも、どうなのよと。

1ヶ月も新記事が掲載されないようですが(2007年3月22日追記)

素晴らしき哉、システム管理者という人生!(ITmedia)を時折眺め、1ヶ月ほどの間、新記事が掲載されていないようですが。


自分は記者個人やITMediaへの反感を持っているのではなく、相応の経験があるならば誰でも違和感を感じるような部分を含む記事がノーチェック状態で掲載され。問題点の多くがテクニカルな部分ではなくて、主人公による常識の域を外れた自己顕示欲や他者を悪者扱いして自身の評価を高めようとする異様な行動原理への反感として突っ込んでおります。


ありていに書いてしまえば、「まさかこんな酷い人は存在しないだろう、いや、居ないはずだ」と否定したいタイプの、極めて独自かつ世間の一般常識から乖離した倫理基準を持った常識から外れる人物を、IT Mediaが主人公として取り上げ賛美する姿勢に対する違和感に対する反論として、自分のブログにて取り上げているんですよね。


一言、「これはネタでした、嘘でしたキャハハ」って書いてもらったらば、どれだけ溜飲が下がるでしょうか。