インドの医薬品特許問題と提訴、ジェネリック医薬品における謎

ジェネリック医薬品は雑誌記事などを読むと特許が切れた医薬品をコピーしたもので、同じ効果で安価であるために患者にとって金銭的な負担が軽減できるとされている。最近ではテレビCMで放映されてますね。
インドにおける最近の「ジェネリック医薬品」問題は、製薬会社が「新たな効能を発見」して特許の引き伸ばしを謀り、ジェネリック医薬品が製造できなくなる問題だと思い込んでたんだけど。
人命は特許に優先する:危機に晒される数百万人の命 −安価な医薬品へのアクセスを守るための署名のお願い− (国境なき医師団) via セキュリティホールメモを読んだものの、グリベックに限ってみればどうも違う話のようでした。


インドではかつて医薬品に特許を認めておらず、その代りに排他的販売権を与えていた。
2005年に新たな特許法の下では排他的販売権制度が無くなり、ノバリティス(NOVARTIS)社はインドの新しい特許法に従い特許を取得しなければならなくなりましたが、ノバリティス社のグリベック(Glivec・Gkeevec)は特許の取得を拒否されたのだ。
ノバリティス社は特許を取得できるよう不服申し立てをし、ついでにインドの特許法がTRIPS協定(世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書1c)に違反していると主張した。
(ノバリティス社のグリベックは、幾つかの国にて特許を認められている)


同日追記:国境なき医師団:ノバルティス社に異議申し立て取下げを求める=安価な医薬品へのアクセスを守るための署名を募集中(グローバル・エイズ・アップデート)が詳しい。


まず、グリベックは「古い薬」ではないようだ。

2001年12月7日,ノバルティスファーマ(株)より慢性骨髄性白血病の治療薬「グリベック」が発売された.この白血病細胞の増殖メカニズムを分子レベルで解明し,その原因となる分子の働きを阻害する「分子標的治療薬」と呼ばれる新しいタイプの治療薬である.
グリベックは本邦で初めて認可が下りたゲノム創薬といっても過言ではなく,研究者も非常に注目している.


特許法以前には、ノバルティス社のグリベック(Glivec)は排他的販売権をインド政府より得ていたようで(Controller Generalって政府のどんな役職なんだろうか?)。
何故に「既存の医薬品をちょっとだけ変えただけ(trivial improvements)」扱いされて特許取得を拒否されたグリベックに、過去のある時点で排他的販売権が与えられたのかがよくわからない。

NOVARTIS India Ltd (NIL) has become the first pharmaceutical company in India to be granted exclusive marketing rights for its oncology drug, Glivec, by the Controller General of Patents and Trademarks of India.

論点が違うような気が

「人命は特許より優先されるべき」との考えには自分も強いシンパシーを感じますが。
「特許をどこまで認めるべきか・認めないべきか」という問題と、「人命のためならどんどん勝手にコピーを作ってもいいのか」との話は、全く異なる問題であるような。


企業や研究機関が所有する特許をWHOや国家が買い上げ、企業が途上国に安価に医薬品を提供する、そのような解決方法はできないものかしらと。