Webの第四世代と、魚屋の切り身と近所の魚屋

昨年近所のネット好きな方より、海外通販で面白そうなものを見つけたんだけどどうもよくわからないと相談されまして。
当人が画像を見て気に入ったものをリスト化し、Lucaさんが簡単に和訳するという依頼をされました。
正直な話として「それ位自分でやれよー!」と思ったんですが。かなりいい日本酒を準備され呼ばれましたので、ホイホイと駆けつけ。注文までじっくり付き合ったりしました。


ふっと雑談してて、そう言えばあれどうなったと話が及びまして。
注文したもののうち1つが不良品だったと、その時になって始めて聞きまして。
酒を飲みのみ、一応メーカーに連絡しておこうかと、メールでオーダーナンバーと購入した品物の不具合を詳細に書いて送信。
2-3日後にメーカーより、「当社は品質管理に大変心を配っておりますが、至らない点がありまして申し訳なく思います」みたいな返信が、カスタマーサービスから届きました。


すっかり忘れていたんですが。
本日、不良品と同じ商品が届きました。
商品そのもののは数百円程度であるが、海外通販なのだから送料もいい金額だろうし。
わざわざ代品を送付されるとは思ってもみず、大変驚きました。


気になって、メーカーからの返信を読み返したんですが。
品質管理がどうこうとかそういう部分はそれほどメインではなく、利用者のガッカリな失望に対するフォロー的要素が強く。
単なる言い訳ではなく、「こういう品質管理を行ってますが、今後はご指摘された点に対して何々のように一層注意を払います。」みたいな、今後その企業がどうするのかまでを含める内容であった。


このメーカーの海外通販をGoogleで検索したんですが、批判的な文章をネット上では全く見出せず。
ファンもかなり多いようです。
大変丁重なクレーム管理に驚き。知人は「次もここで買うぞ」と喜んでおります。


単純に不良品と同じ品物を無料で送付してきたから知人が指示支持しているのではありません。
数百円の安価な商品であっても、顧客に顔を向け親身に接し、顧客の「残念だったーうーむ」とのネガティブな感情に対して、真剣に取り組んだ姿勢が評価されているんですよ。

通販業者とWeb2.0、Webページの第四世代

そこでふっと思うんですが。
信販売と言えば何が届くかわからないというある意味で暗黒な業者などもあるものです。
また品物が良くても、対応があまりにも横柄だったり、梱包が乱雑で商品に傷がついていたり。


成功するネット通販業者は、顧客の気持ちをよく汲み取るような業者が、最後には生き残るのではないでしょうか。
もう少し突っ込んで考えると、顧客よりの意見集約機能がうまく機能している業者。


所謂「インターネット」なるものが生まれ、Webページ・Webサイト(所謂ホムペ・HP)が雨後のタケノコのように誕生したのははるか昔になってしまいますが。
どこかの(確か日経)解説にて2年ほど前に、Webページには3つの段階があると記載されておりました。
第一段階:自社と製品のアピール
第二段階:顧客よりの意見の収集
第三段階:顧客より集めた意見を、企業の運営や姿勢、商品の企画や品質管理に生かす
今では大多数の企業は、第二もしくは第三段階ですよね。


Eコマース全盛とか言われるけど、実際には知名度の高さと評判の良し悪しはそれほど密接な関わりは無く。著名であっても包装が乱雑な業者などはネットの掲示板や個人サイトで非難されます。
メジャーでありながら、やたらとアンチ派が多い業者と、所謂「熱狂的信者」が多い業者があったりしますが。両者の違いは、何に基づくんだろうかと。


思いつきながら、メーカーが顧客へ提示するフィードバックをよりジャンプさせた、近所のお魚屋さん的な思いやりを無理矢理第四世代と名づけてみる。
「どこどこの魚屋さんは大きい鮭を売ってるけど、切り身じゃなければ買いづらいのよね」との顧客の要望に対処し、塩鮭を切り身のパックで販売するようにするならば、第三世代だ。
顧客よりのフィードバックを生かす、それは一見すると売りっぱなしではなく消費者へのフィードバックを考えているようには見えるんですが。
単に切り身の魚を販売するだけでは、顧客の意見をそのまま反映しただけに留まり、そこでやりとりの環は終結してしまう。


第四世代のWebサイトを、近所の商店街の魚屋さんに再び無理矢理例えてみる。顧客からの要望やフィードバックを単純に鵜呑みで即答するのではなく、顧客の商品への利用形態までを考えて開発を進めるような層として。


第三世代の魚屋さんが、骨とかヒレとかその他ペッと吐き出される部分が大量に含まれているような魚の切り身を、「鍋物セット」として販売したとする。
だが鍋物用に購入した人は、鍋物の魚の骨の多さに辟易し(焼き魚と比較し、逐一小皿に取り分ける鍋物では骨が鍋全体に散らばってしまう)、ガラ入れ(魚の骨とかゴミを入れる容器)は満杯で、そして最後の雑炊やうどんには小骨が大量に混じって料理を楽しめなくなる。
(焼き魚目的の顧客には骨付きの魚の切り身でもいいやもしれませんが)


鍋物セット」では魚の背骨や大きな骨やヒレ部分を取り除き、そのまま鍋料理に使っても食べる時に困らないような心遣いをするお魚屋さんがあったとすると、これは第四世代だ。
第四世代の魚屋さんから購入した切り身で作った鍋物では骨の混入はさほど気にならないだろう。