Sony、Rootkit利用のXCPコンテンツ保護ソフト作成業者を訴える

Sony Rootkitといえば、Rootkitなる攻撃手法を一躍著名にした大事件であった。
ファイルやプロセスを隠蔽し、感染後に修復作業を困難にし。またマルウェアの感染後に隠蔽する目的で利用されたRootkitは、Sony Rootkit以前にはマニアと呼ばれそうな層でなければ情報も少なかった。

以前はルートキットなんてGoogle検索しても日本語で500件、全言語でもそれほど多くなく。
ある意味で情報のアウトブレイクのようなものだった。
(なお、クラックしたサーバーに導入する悪質なソフトウェアの詰め合わせをRootkitと呼称する用法もあった)

Sonyの進退が問われる

SonyはAmergence社を、Rootkitを備えたコピー防止機能を提供したかどで訴訟の場に持ち込んだ。


 Sony BMG Music Entertainmentは、不正コピー防止CDソフトウェアを提供するThe Amergence Group(旧社名はSunnComm International)を相手取り、欠陥のある技術を提供されたとして訴訟を起こした。これは2005年に発覚した「rootkit」CD問題に起因する。
 2005年11月、研究者Mark Russinovich氏は、コピー防止機能付きCDを再生するとコンピュータに隠れたファイルが残されることを発見した。その後の消費者の申し立てと政府の調査により、膨大な支出を強いられたとSony BMGは述べている。


 Sony BMGは今回、コピー防止機能システム「MediaMax CD」を作成したThe Amergence Groupを提訴している。
 ソニーBMG、rootkit問題で不正コピー防止CDベンダーを提訴(CNET Japan)


以前より「誰がどう悪いのか、責任を持つべきなのか」なるテーマには興味がありました。
Sony sues over DRM rootkit(McAfee Avert Labs Blog)にも言及があるんですが。
Sony Rootkitは、Sonyが意図的に行いその影響を知っていたのか。他の技術を用いて解決できなかったのかとか。利用者の許諾の有無を最初から無視したのかとか。
その辺りがどうも気になってしまいます。

CD、DVDメディアコンテンツにSonyが与えた影響

一応、Sony BGMはFTCとは和解が成立してはおります。


 Sony BMG Music Entertainmentは米国時間1月30日、消費者に通知せず自社製CDに海賊防止ソフトウェアを組み込んだ問題に関して、米連邦取引委員会(FTC)と和解提案に至ったと発表した。
 FTCによると、「rootkit」としても知られる海賊防止ソフトウェアは、CDの使用を制限するだけでなく、深刻なセキュリティ上の問題を引き起こす恐れもあるという。この騒動が発生したのは、ソニーが自社製CDに、コピー防止ソフトウェア、つまりデジタル著作権管理(DRM)技術を組み込んでいたことが明らかとなった2年前のことである。
 提案された和解案では、消費者は2007年6月31日までSony BMG製CDを交換することができ、さらにこのルートキットソフトウェアを除去しようとした際にコンピュータが損害を受けた場合はその修理代として最大150ドルの払い戻しを受けることができる。
 ソニーBMG、ルートキットをめぐる訴訟でFTCと和解へ(japan.cnet.com)


それだけなんだろうか?
Sonyは音楽CDメディアをパソコンにて安全に利用できない事例として最も代表的な事件を引き起こしたが、影響はSONY一社に留まるものではなかった。
音楽や映画などを提供する業種全体へのイメージダウンとなったろう。


許諾も得ずに「何か」を導入させる事例は、以前より幾つかの報告例があった。郄木浩光氏の報告例とか。
そしてSony Rootkitだ。
もうパソコンでメディアを再生するのは、危険極まりない・またはマナーや倫理観に反する企業により勝手に不審なファイルを導入されるのはありがち、と考えるべきなんだろうか


より安全側に傾いて考えるならば、パソコンなんて使わず、映画はDVDプレーヤー、音楽はCDコンポやステレオで再生するのがベターな時代となったのでは。
「パソコン1台で何でもできますよぉ!」な時代から、むしろパソコンを使わないよう促されるような事態が到来したと言及しても過言ではない - きっかけとなったのは、Sonyだ。

Sony Rootkit CDを用いてテストするとしたらば

今自分の手元には、一連の騒動のきっかけとなった、Van ZantのGET RIGHT WITH THE MANのCDがありまして。
マーク・ルシノビッチ氏のSony RootkitのきっかけとなったCDである。
ソニーが音楽CDに組み込んだ“Rootkit”とは何者か?(@IT)でも画像が表示されておりますね。


何かするとしたらば、アンチウイルスソフトメーカー各社の対応状況を、インストール時とインストール後でスキャンする程度しか思いつかないんだけど。
これだけ世界中で広まり著名となったものを検出できないソフトウェアは問題なのではとの視点で、幾つかの製品への評価として解釈できないものだろうか。