病原菌ずさん管理ニュースに対する、ズレた視点からの感慨

産業技術総合研究所特許生物寄託センターにおける病原性微生物ずさん管理問題をニュースで目にして、不思議でたまらない点がある。

事件の概要を報道から。

 茨城県つくば市産業技術総合研究所特許生物寄託センターで、人に健康被害を及ぼす恐れのある病原体約300株を、内規に違反してずさんに保管していたことが17日、関係者の話で分かった。
 関係者によると、2004年までは感染防止設備がなかったため、危険性が低い「生物危険度レベル1」の微生物しか受け入れないことを内規で定めていたが、01年の時点で「レベル2」以上の病原体が296株保管されていた。

 経済産業省所管の産業技術総合研究所特許生物寄託センター茨城県つくば市)が、人に健康被害が出る恐れのある病原体約300株を、内規を逸脱して受け入れた上、感染防止体制が不十分なまま非常勤職員らに培養など作業をさせていたことが分かった
 同センターは、微生物を利用した特許発明者からの依頼を受け、特許出願に必要な「受託証」などを発行したり、微生物の管理・培養を請け負っている。菌などの微生物のほか、動植物の受精卵・種子なども扱う。

これだけだと「怖いー。危険な病原菌が届出もされず、十分な施設もなく管理されていたのねー!」で終わってしまうんですが、引っかかりを感じてしまって。

どうも変。何故に「レベル1」に?

 産業技術総合研究所は「『ブルセラ菌と鼻疽菌』とされた菌3株を預かったことは事実。(中略)その後、3株とも「レベル1」と判明したという。

 18件中3件の細胞株は当初、さらに危険性の高い「レベル3」の病原体だとされたが、その後の調査でレベル1相当の別の細菌だと分かった。


報道が間違いではなかった場合には、下記の問題が示唆される。
1)危険な病原菌の菌株の容器が、他の菌株と取り違えられている
2)長年培養しているうちに、他の菌が混じった。その後中身が入れ替わった。


特許庁長官の指定する特許微生物寄託機関として、またブダペスト条約に基づく国際寄託当局として、国内外からの特許微生物を受託し、分譲しています。」と記載している重要な機関ですよ。
この機関から研究者へ供出されるサンプルがデタラメで異なるもの、また重要なサンプルが人為的ミスにて次々と消失しているとの解釈に結びつきかねない。


凄く単純な話として。
この機関より提供されたレベル1のサンプルが実は、レベル3の別の病原菌でしたなんて話が出てきたりしないのかな。
いずれ記載されるであろう続報にて、新局面などが出てきたりして。後々より詳細な調査レポートなどを待って読み直した方が良さそうな。