高校生の書道を見に行った - 書は人の心を移す鏡、らしい

あまり目的意識は無いんですが、高校生の書道作品の展示を見に行きました。
自分はどうなのかと問われると、書道経験は皆無でミミズがのったくったような字しかかけませんが、別にいいじゃないか。


受付には女子高生が座ってて、パンフレットを受け取り。
「気に入った作品には、シールを貼って下さい」と。
シール?赤青黄色のシールには顔がかかれていて、札に貼り付けられたシールの多寡で競う主旨のようだ。


最初の作品を眺め、いきなり驚いた。
「何々君、大好き。一緒にいようね」みたいな色紙が貼り付けられており、固まってしまった
これって書道?写真とかベタベタな。
ご時世なんでしょう。


さて、と。ぶらぶらしつつ受付の女の子が書いた作品はどれかなぁって探してみます。
言っちゃ悪いけどモチモチした話し方で「もうちょっとはっきり話しなさい!」と言いたくなるような、かなり引っ込みがち少女な印象の女の子だったんですが。
驚いた。
まさかこれじゃないよなーと一回通り過ぎた、やたらとサイズが大きくて剛胆で筆圧高そうな作品が、彼女のでした。
うーむ。。。。。人は見かけによらないとは言いますが。。。。。。。
まずはシールを一つペタリ。


次に、やたらとこれまたサイズがでかくて史記の文章を書いた作品が気に入ったので、またシールをペタリ。


さて、シールが一枚残ってますが。
幾つかの作品はそれほど素晴らしくも無く、筆順が間違ってたりとか、またまた「誰々君が好き!」みたいなものとかで。
どれに貼り付けたらば良いのかなぁ、と悩んでましたらば。
受付のモチモチな女の子が「隣の部屋も会場ですよ」と。
おっと、二部屋だったのね。


隣の部屋の展示は、あまり良くないものばっかりで、いささかガッカリだったのだよ。何じゃこりゃと。
きびすを返すLucaさんの横目に、ある作品が - まるで鮮烈な強光を浴びたかのように - 飛び込んできました。
。。。。。。。。凄いよ、これと。
書なんてよくわからないし、全くの素人である身ですが。文字の勢いとそれでいて熟練の書道家のようにうまくまとまっていて。なおかつ凄まじいメッセージ性を持っていて。呆然としました。


だけども、Lucaさんが最後のシールを貼り付けようかと悩んだ作品には、とんでもない問題がありました。
↓ いささか口汚い単語なので、反転して読みたい方だけどうぞ ↓
だってさ、「糞」だし
誰か、展示しないように止めろよと。


書道の先生の家族より以前うかがったんですが、書道ってのはイメージが大切なのだそうです。
自分にはわかりませんが、海をイメージし荒波小波打ち寄せる波、延々と広がる水平線と風。そんなイメージに瞑想しつつ何時間も浸り。
ある瞬間に、ですね。
「エイッ!やぁ!」と脳裏に焼きついた空想の印象を、紙の上に墨で鮮烈に転写する。
まるで禅僧の座禅のような感じで、書は極まるのだとか。
となるとこれって、と。


さすがに書かれている文字は、問題って言えば問題だし。そりゃまずいだろうとは思いましたが。
会場には先ほどシールを貼り付けた2作品を除けば、これほど光る作品がありませんでした、本当に。
どんな高校生が書いたのかは想像できませんが、彼が(彼女?)自らの才能をこの場でかなり無駄遣いしているのは明らかで。
ひょっとしたらば自身の書が、誰かを感動させるだけの力を持つなんて気付かず、そのまま終わってしまうんだろうかとか、意味不明な事を考えたり。


悩みに悩み、まるでシールを貼らなければならない義務にとらわれたような気がした自分は、どうしたものかとかなり長い時間悩みましたが。
小心者なので、そばの「何とかクン、いつも一緒にいようね」みたいな色紙にペタリと貼り付け。
脱力したかのように、会場を後にしたのでした。