無料ソフトウェアにバンドルされるアドウェアと代償

一見すると運営者は大変理知的であり、解説も詳細であるように見えるんだけど、どうもチグハグ感がある解説サイトがある。
コメントを投稿しようとしたんだけど、何から突っ込みを入れたら良いのか呆然とし、結局止めておいた。

2004年以降、アドウェアと分類されるスパイウェアが爆発的に広がった背景には、ソフトウェアを使った広告ビジネスがありました。
仕組みは、無料のソフトウェアに広告プログラムをバンドルさせ、ソフトウェアの開発者にダウンロード回数に応じた報酬を、また広告主から広告料を徴収するという広告ブローカのような仕組みです。
(中略)
ベクターなどの無料ソフトウェアダウンロードサイトから作者情報を盗み出し?(公開されているWebサイトやハンドル名)、ソフトウェアの開発者にコンタクトしています。
アドウェアをバンドルしたソフトウェアは、そのソフトウェアの内容とは関係のない広告情報を巧みに表示するようになるでしょう。また、トロイの木馬ダウンローダ機能を有することで、さらにさまざまなプログラムを感染コンピュータに送り込むことが可能です。
(中略)
 こんな危険なビジネス モデルがすでに多くの非難を浴びている中、日本に上陸し始めたということを知っておくべきではないかと思います。

上記の記事は、自分が知る限りでは最も。。。。。いや、真面目に取り組んでいる人らしいので、本気で突っ込みを入れるのは止めておこう。


このようなビジネスモデルは2004年以前にもあったし。十分な説明を得た上で導入されるならば、アドウェアであっても(広義の)スパイウェアではない。
アドウェアダウンローダーその他について明らかな混同があるし。
記事中にては広義のスパイウェアについて言及しているんだろうけど、解釈を誤っている。


以前より疑問を感じ、一部の対策サイトに対して違和感を感じていた話なんですが。
ある種の無料サービスや有用なソフトウェアやWeb上でのサービスにて、「代償も無く利用するのは当然だ!」と唱える方が居る。
「無料のソフトウェア」は、金銭的な代価は求めない。だが全ての無料ソフトウェアが、いずれもボランティア的精神でいかなる代償を求めるべきではないとの押し付け行為と非難は、違和感がある。


自分の解釈としては、代償として「十分な説明の上で、通常許諾できる範囲の代償を求められるのは当たり前なのでは」と。
だからユーザーの理解を十分な説明の上で得て、必要以上に冗長な使用許諾説明書に紛れ込ませたりせずに、バンドルされているアドウェアを導入させる行為は、非難されるべきではないと考えている。


そんな事を書くと、違和感を感じる人も居るんだろうけど。
騒ぎになるのはいずれも、ユーザーの過誤なり認識不足の上で、社会通念上許諾されないような情報まで抜き取ったりするような事例だよね。
そこでだ。
「無料ソフトウェアはいかなる代償も求めるべきではない」との一方的な解釈に基づき、無料サービスでのアドウェアによる広告表示を感情的に非難する方々ってどうなのよと。


もちろん例外的な事例として、ソフトウェア配布者が代償として求める別のソフトが、あまりにも評判が悪いものであったらばどうなのかと。契約する前に調べればわかるだろうと。
一例として、JWord。詳細な説明は不要だよね。
JWordがインストールされちゃうけどこのソフトは無料だよ」と書かれていたらば、激しく呆れてしまう。


ちょっと脱線。
かつてINASOFTはJwordプラグインをバンドルし、「JWord株式会社を訪問してみました( INASOFT)(現在削除されている)」なるコンテンツにて、JWord側の瑕疵を掲載する方々に対してかなり扇情的に非難なされました。
ブログのネタにしようとした直前に削除されてしまったので、没ネタとした。
INASOFTさんは「文句があるんならばJWordに問い合わせろ!ちゃんと返事をくれるはずだ!」と非難口調でのたまいました。
Lucaさんや幾人かはJWordとこれを擁護する団体に幾度もメールで連絡したものの、これまで1回も返信が無かったと断りを入れておきます。


散文となってしまいましたが。
無料での利用への対価として求められるようなソフトウェアが、どのようなものなのか。またどうあるべきなのか。
古い話に見えますが、まだまだ議論の余地は残されているようですね。
バンドルされるソフトウェア(アドウェアスパイウェア)に対して、ソフトウェア作者や配布者がどれだけ機能や評価を認識しているのかとか。
どこまでは許諾されるべきなのかとか。
どう告知し、リスクを説明すべきなのかとか。