企業が過剰な経費節減を行ってはならない理由

経費の節減や無駄遣いの見直しは、まるで美徳のように語られるのだが。
彼らの大多数は、賛美される節約行為の陰にどのようなリスクや問題が生じているのかを全く考えようとはしないし。
多くの場合、行き過ぎた経費節約行為は見落とされがちな新たなコストの発生や、企業イメージへの重篤な問題を生じさせている。

節約や経費節減と、得られる利点(ベネフィット)のバランス

前提条件として、コストとベネフィットの関係をまず述べる。
君がある行為を慎み・または行う事によって、100円の経費が節約できたとする。
だが結果として200円のコスト - 人件費や生じた問題を解決するための物品費など - を生じさせているならば、自己満足の環に完結した下らない行為だ。
最近では「環境万歳」的な視点より横槍を入れる方も存在するんだけど、わずかばかりの資源を節約するためにより多くの資源を損なうならば、最終的なツケを鑑みるとそれは節約にはならない。

無駄な節約行為の例

トイレの貯水タンクにペットボトルを入れる愚

貯水タンクに水入りペットボトルやレンガなどを入れ、「大」利用時に節水を心がけるテクニックは、テレビ番組などでも幾度も目にした。
だが、長期的スパンで眺めると逆に余計な経費 - パイプ詰りを誘発する可能性がある。

タンクの水の量というのは汚物をきちんと流すために計算されて設定されてます。その水量に手を加えると水圧が弱まり、汚物がスムーズに流れなくなります。そのため排水管などに汚物のカスがのこり、それがたまると詰まりが生じてしまいます。そうなると修理が必要なのですが、修理費だってバカになりません。節約のつもりではじめた技が逆に大きな出費を招いてしまうとしたら皮肉なはなしですよね。トイレの水の節水には他の方法を選んだ方がいいようです。

ちなみに詰まってから配管屋さんに依頼すると、3-5万円程度の金額を請求される事態となる。

節電の愚

暗い夜道では痴漢なり不審者多発ってのは、わかりやすいと思う。
自分が泥棒ならば、薄暗い街灯も少ない場所を狙うだろう。
色彩と光が人の行動に与える影響を研究した学問分野があるらしいんだけど、自分は無縁なので、いきなり体験談に突っ走って一つの事例を。
自分の居住地近隣にてコンビニ強盗が狙うのは、某コンビニチェーンが多いんだけど、いずれも照明が暗めのチェーンばかりだ


いきなり強盗がどうこうとか言い出してしまって、引いてしまった人も多いような気がするんですが。
営業先の会社の廊下にて、蛍光灯が半分外されていて薄暗かったらば、気持ち悪いよね。
それに「ここってひょっとして、経営状態が悪いのかな」と思いこまれたらば、契約にも影響する。

営業車のガソリン給油が満タンじゃない愚

世の中には、満タン給油が禁止されている会社がある。
説明しづらいんだけど、満タンと不十分な給油では車体重量に20キロばかり差があるために、燃費効率が違うだろうとの考えらしい。


ガソリンスタンドにて消費する時間が5分として、社員の時給が2000円とすると、給油にかかる待機時間は167円だ。
これってガソリン1リットル以上の金額ですよね。


稀な例として、社員が出先で営業車のガス欠を起こしたとしたらば。
JAFを呼ぶにしても、ガソリンスタンドまで歩いて助けを呼ぶにしても、かなりの金額のロスだ。


笑っちゃう話だが、営業車の給油を10リットルに制限している会社がある。
コストを考えると、いかに馬鹿馬鹿しい部分に労力を強いているのかよくわかるだろう。

裏紙とプリンター、コピー機の愚

PPC用紙の単価は、1枚当りら0.3円程度である。
まとめ買いならもっと安いかもしれない。


使用済みの紙を再利用する裏紙は、一見すると大変節約に貢献しているように見え、エコロジーと唱える連中も居るんだけど。
裏紙はクセがついているために、再度利用するとプリンター内部で詰まったりしがちで、トラブルの元である。
カラーのインクジェットプリンターで利用した紙をレーザープリンターで再利用した場合には、かなり高い頻度で紙詰まりを引き起こす。


プリンターを開けて詰まった紙を取り出しても、その後のプリントアウトした紙にインクの黒い点が変な部分がトナーを交換するまでついたりすると、空しいものだ。
(トナーは数千円から2万円程度の価格である)
熱転写ユニットとか日頃聞きなれない部分に障害が発生したらば、部品代だけで3万円とか5万円の経費がかかる。


1枚1円に満たない紙を再利用して障害が発生したらば、経費節減どころじゃないですよね。
常識で考えようよ。

裏紙の愚 - Part 2

以前訪問した先で、メモ用紙をいただきましたらば、裏紙だったんですが。
表側、つまり既に印刷された内容が、「これって外部の人間が見てもいいの?」と心配になるような文書であった。
他の顧客との契約に関するような資料が、第三者の目に触れるのはまずいだろうと。

文房具節約の愚

世間には、ボールペンの交換は認めずに、インクの芯が切れたらばやっと物品支給に応じる企業もあるらしい。
それは置いておいて。
たかだか数十円のボールペン1本のために、上司や幾人かの決済稟議と決裁を求める企業もある。
社員の時給を2000円、上司の時給を3000円とし。それぞれ2分の時間が無駄に費やされ、稟議が必要な上司の数が2名とする。
単純に計算すると、267円の人件費がボールペン1本のために費やされるのだ。


無駄だとは思いませんか?
人件費がタダ同然の会社ならばともかく、普通の会社にてボールペン1本のために無駄な時間を費やすのは望ましい状態なんでしょうか。

下らない経費節減で、多くの利益を逃す現実

常識的に考えて下さい。
君が営業さんで、訪問した先の企業がやたらとしつこく経費節減を唱えていたらばですが。
「ここって経営状態が極端に悪化しているのかな?」と考えるのが当然。
取引にも影響しますよね。


また社内での士気はどうでしょうか。
わずかばかりの金額を節約したと満面の笑みで、経営者が朝礼で述べてたらばですね。
「ここってそれほど経営状態が悪化しているのか!」とみなし、社員は皆さん、転職とか考えてしまうやも。


自分だったらば、訪問先の企業の廊下の蛍光灯が外されて薄暗く、スリッパは先端が磨り減り、出されたお茶の茶碗は幾つかが欠けてたりしたらばですね。
帰社後に上司に「要注意先リスト」に掲載するよう、即座に連絡しますよ。